歯医者では何も言えなかった

虫歯が痛かった。

そんなわけで麻酔をして、削り始めたんです。

うっ痛っ!いきなり大きいのが来た。
思わず顔が歪んで、頭を診察台の背もたれに押し付けて逃げかかった。

キュイ~ン。キュイ~ン。
「あっ!ごめんなさい」
「ちょっとガーゼ取って、大きいの」

あ、何?何なの?
口を開けたまま、言葉にならない言葉で「何?」と言っている。

「器具がペロに当たったんで、今止血してます」
一応場内アナウンスはあった。

止血ってどういうことよ?
本人は言ってるつもり。
しかし、口は開いたまま。「あわわわわ」と質問になってない。

頭の中で様々な考えが交錯する。

血ってどのくらい?
どこが当たったの?
麻酔切れたらどうなるの?
あたし帰れるの?
このまま救急車?

世に「目が白黒する」という言葉があるが、
あの時の状況はまさにそれだと思う。

ガーゼでギュっと舌を抑えられている。
なおさら喋れない。。。そして沈黙。

心の叫びを発する。
歯じゃないとこまで削るなよ。
カレー食べられないじゃん、どうしてくれんのよ。
明日もカレーダメだめかもしんない。
キムチもダメだよ、絶対ダメだよ。
毎日ゼリーとか? ダイエットじゃねえよ!
冗談じゃないぜ!

口を開けたまま、カレーで頭がいっぱいに。

そのうち
「血が止まりました。治療続けます」
おお!また場内アナウンスか?

有無をも言わせず、そりゃそうだ口は開いたまま。
粛々と削られた。

カレー皿が頭をぐるぐるして
3日後、ようやくカレーを食べました。